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『最後のウィネベーゴ』 コニー・ウィリス [SF]


最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)

最後のウィネベーゴ (奇想コレクション)

  • 作者: コニー・ウィリス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2006/12/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


かなり前に読んだので感想に新鮮味が感じられない場合はご容赦いただきたく・・・
コニー・ウィリスの中篇集。
「女王様でも」「タイムアウト」「スパイス・ポグロム」「最後のウィネベーゴ」の4編が収録されている。
以下、一つずつ簡単に感想。

「女王様でも」
これは短いので中篇というより短篇か。
女性が医学の進歩等で「解放」された世界の話で、孫娘の一人が解放前の状態を是とする自然回帰のカルト的思想にかぶれて、「サイクリスト」と呼ばれるその一派に入会するのをやめさせようと一族の女たちが喧々諤々大騒ぎ、というドタバタコメディ。えー、説明の歯切れが悪いのはこれ以上書くとネタバレるから。
もともと一番最初にコニー・ウィリスを読んだのが70年代SFマガジンに掲載されてたフェミニズムぷんぷんの奴で(題名は忘れた)、以来コニー・ウィリスはしばらく敬遠していたのだが(で、あとで「もっと早く読んどきゃよかった」と後悔)、過激なフェミニズムに対して皮肉たっぷりなこの短篇みたいなのだったら、食わず嫌いにならずに済んだのに、と思った。

「タイムアウト」
タイムスリップを題材にしたラブコメディ。
研究のため田舎町にやってきた時間心理学者と、子育てに忙殺される主婦の揺れる気持ちが、勘違いすれ違いをからめつつ描かれる。決して湿っぽくならず、ユーモアを交えて話が進むのは、最近(でもないか前からか)好んで読まれている、巻き込まれ型主婦探偵が活躍する女流推理小説みたいだ。

「スパイス・ポグロム」
異星人との交渉が行われているスペースコロニーを舞台にした、これまたドタバタラブコメディ。
古き良きラブコメディの(日本人の自分などからするとありがち少女漫画の)シチュエーションを意識して書いたと作者が語っているとおり、トラブル回避のために意に反して偽装結婚した男女が反目しあいながらもいろいろあってやがて本当に惹かれあう・・・という、まーそういう話なんだが、そこはコニー・ウィリスなので、脇役の登場人物やら、かなり異質。
芸能界を目指す恐るべき少女たちの描き方なんて、男性作家には絶対書けないな、ありゃ。

「最後のウィネベーゴ」
ここまでコメディだったが、これはシリアス。そして、泣ける。
ウィネベーゴというのは大型キャンピングカー。この近未来の話では、生活自体は現代とほとんど変わらないが、ある部分では現代には有って当たり前のものが欠落していたりする。例えば大型自動車は過去の遺物となっている。
そう、ここで書かれているのは、光と希望に溢れた進歩した未来世界ではなく、少しずつ衰退し翳っていく未来なのだ。哀愁に満ちたブルースハープの音色なんかがBGMに合いそうな・・・。
感動のラストを損ねないように、いろいろ書くのはやめておくが、この話は年をとってから読むと余計に響く。かつては有って、そして今は無くなってしまったものの話は。
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『コラプシウム』 ウィル・マッカーシー [SF]


コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ウィル マッカーシイ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 文庫


えー、一目瞭然ではあるが、表紙イラストがかなり萌え系狙い・・・が、中身はかなり理論バリバリのハードな一面と、姫(女王)とヒーローのラブファンタジーなプロットで、つまるところ萌え線じゃーゴザイマセン。
ツインテールに制服系ミニスカとかね、もう(失笑)。まー一応そういうっぽい登場人物もいるっちゃあいるが。
SFとしてはすこぶる真面目で面白かった。作者が理系な人なので文系読者にはちんぷんかんぷんなところもあるが、さらっと読み飛ばせるし。難しい理論とか難しい言葉なんかは巻末の付属書で別途詳しく説明されてるので、興味のある人はそっちを読めばいいし、無い人はそっちは読まずに済ませられるし。もちろん自分は後者だった。スイマセン。
宇宙を股にかけ、愛する人のため、理論を駆使して地球を危機から救う科学者のヒーローが主人公。こういうのは、科学少年の夢だなぁ。ええ話や。
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『ウォー・サーフ(上・下)』 M・M・バックナー [SF]


ウォー・サーフ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ウォー・サーフ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: M.M. バックナー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫



ウォー・サーフ 下 (ハヤカワ文庫 SF ハ 14-2)

ウォー・サーフ 下 (ハヤカワ文庫 SF ハ 14-2)

  • 作者: M.M. バックナー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫


思い立った時にどんどん感想を上げとかないと、どんどんどんどん追いついていけなくなるので・・・
パトリック・オリアリーがP・K・ディックの後継者なら、本作は「フィリップ・K・ディック賞」受賞作ってことで、P・K・ディックつながり。
こっちは一気読みというわけには行かなかったなぁ。どちらかというと「遅々として進まず」。
だいたい上下巻ものの長編の場合、上巻途中ぐらいまでは読んだり止めたりしながらだらだら進むのだが、これもその例にもれず、どんだけかかるんだ、というペースで進行。
だいたい主人公がいけ好かないんだ、これが。
世界で有数の大富豪ナジール・ディーブラは248歳という高齢ながら、金の力に物を言わせて最先端の医療で健康を維持、青年の外見を保持している。なおかつ、人生に飽いた同じような境遇の仲間たちと連れ立って、立ち入り禁止の戦場(労働争議の険悪化による)に侵入して自分たちの冒険をネット中継する「ウォー・サーフ」という命がけの娯楽に身を投じては楽しんでいた。
そんなディーブラが美しく若い女性セラピスト、シーバにいいところを見せようと、彼女を入れたチームで最高難度の紛争地域である地球衛星軌道上の工場「天国」へウォー・サーフすることを思い立つ。
というような話の取っ掛かり。
主人公は精神的には超の付く老人なので、まったくもって人生の経験者然とした上から目線。おまけに超金持ちなので経済的にも上から目線。ほぼ一般人である読者からすると、これは甚だヤな感じ。
全然共感できない主人公に長々と付き合わされると思うとダラダラ読みもやむなし、である。

が、「天国」へのウォー・サーフで帰還がままならなくなり、主人公が苦境に陥ると俄然話が面白くなる。ヤな奴の不幸は蜜の味(笑)。
究極の格差社会で、短い人生を懸命に生き延びようとする労働者と、生き疲れて自らの命までをも娯楽の対象にしてしまった大富豪経営者。そして互いに会うはずもなかった両者を結びつける接点となった美女シーバ。
まぁ、こんな感じでいろいろ。

最後は一件落着っぽいが、よく考えてみるとこれで解決になってるのか?という気も・・・
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『不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ』 パトリック・オリアリー [SF]


不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ (ハヤカワ文庫SF)

不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: パトリック オリアリー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫


SFのレビューが死ぬほど溜まっております。
読み終わってすぐ書けば、きっと新鮮な感想が書けるんだろうが、ついつい先延ばしにしてしまい、結局書こうと思い立った時にはそれこそ何もかもが「霧の彼方に」、てな具合になってしまっている。

この話は、どちらかというと一気読みに近い速さで読んだ。1日半ぐらい。
マイクとダニエルという兄弟の話で、二人は既に死んでいるのだが、それに気づいて無い。そして死者ばかりが暮らすその世界で、謎の男タカハシが兄弟の前に現れ、それぞれ兄と弟にお互いを探し出すように脅しつける。
と、こう書くとなんだか複雑で難解な世界の複雑で難解な物語のように思われるのだが、最初から主人公たちが死んでいるという事実は明記されているし、そういう意味では大どんでん返しのような驚きはなかった。読者はわかっているが、わかっていない主人公たちを俯瞰するような感じ、とでも言えばいいのか。わりとクールに読めたかな(でも一気読み)。
話は、性格的に正反対な兄弟のモノローグが交互に語られる形で進んでいく。
二人はお互いに水と油なのでうまくやっていけず疎遠になってしまっているのだが、奥底の方では固く絆が繋がっていて、最後に引き寄せあうように出会い、ぶつかり、そして・・・まぁ、兄弟ってそういうものだよねぇ、なかなか感動的な結びだ。
何か書くと全面的にネタバレになりそうで、何にも書けないなぁ。

パトリック・オリアリーは、P・K・ディックの後継者などと言われているようだが、ちょっと違うような。
似てるところもあるが。
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『遠すぎた星・老人と宇宙2』 『最後の星戦・老人と宇宙3』 ジョン・スコルジー [SF]

朝、「ラシンvsバルサ」をちょっと観たが、前半で(0:3)じゃ、どう考えても結果見えてるんで二度寝。
結局(1:4)でバルサ勝利。でもズラタン怪我?



遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジョン・スコルジー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 文庫



最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)

最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジョン・スコルジー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/06/25
  • メディア: 文庫


『老人と宇宙』シリーズのその2、その3を立て続けに読んだ。
ほら、間を置いちゃうと、世界観やら人間関係やら、わけわかんなくなっちゃうんで。

『遠すぎた星』の方は、第1作と同じ世界で進行するが、主人公は裏切り者の天才科学者のクローン兵士、というまったく別の物語。とはいえ、第1話で出てきたジェーンが結構重要な役どころで登場するが。
人類を裏切ってエイリアンと手を組んだ天才科学者プーティンの情報を得るべく、その遺伝子を使って誕生させられたクローン、ジェレド・ディラックが兵士として戦いながら、自分のルーツと謎に迫り、そして真の自己を確立していく物語。
軍隊を舞台にした物語はほとんどがそうだが、この話も登場人物は味方か敵かで大分されていて、敵には感情を持たずに苛烈に対処していく。戦争じゃなければ殺戮とか虐殺とか言っていいようなシーンも。
戦争になるとこういう感覚が当たり前になってしまうのは仕方のない事なんだろうかね。

で、情け容赦なく殺してた相手のエイリアンだが、これが次の『最後の星戦』では、協定を結んで仲間になったってことで、人間味溢れる(まぁエイリアンなりに異質ではあるが)個人として描かれたりしていて、全然イメージ違うんだよね。第3話は、第1話のジョン・ペリーが主人公に復活、ジェーンと夫婦になって、退役して植民者になってたりする。兵士じゃないからエイリアン(敵)に対する見方も違うのか。今度は人類間でのどろどろした政治紛争も描かれてて、昨今のどこかの国の政治のように「どっちもどっちだろ」なムードも。
あと、主人公がちょっとスーパーヒーロー過ぎる気も。先読めすぎだろ、あんた、みたいな。

なんだかんだいいつつも、やっぱり戦争物は面白い。敵と味方、勝つか負けるか、でわかりやすいし。
しかし、星を奪い合って戦争するほど、この宇宙には好戦的知的生命体がたくさんいるのかなぁ・・・。ありそうにないなぁ。
ま、SFだしな。
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『レインボーズ・エンド(上・下)』 ヴァーナー・ヴィンジ [SF]


レインボーズ・エンド上 (創元SF文庫)

レインボーズ・エンド上 (創元SF文庫)

  • 作者: ヴァーナー・ヴィンジ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/04/05
  • メディア: 文庫



レインボーズ・エンド下 (創元SF文庫)

レインボーズ・エンド下 (創元SF文庫)

  • 作者: ヴァーナー・ヴィンジ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/04/05
  • メディア: 文庫


レインボーズ・エンド・・・すなわち「虹の果て」。
まー退職者コミュニティ(高級老人ホームというところか)の名前なんだけどね。
余生を静かに過ごす人たちの施設、という意味ではふさわしい名前といえるのだろう。
なんとなくその先には希望があるような気がするし。
この物語も読後感は希望的でさわやかな感じだったので、ふさわしい題名か。

ロバート・グーはかつて高名な詩人だったが、アルツハイマーに蝕まれ死を待つばかりだった。
その彼が健康体として人間生活に帰還を遂げる。アルツハイマーの画期的治療法が見つかり、それが幸運なことに彼に絶大な効果を及ぼしたのだ。最新医療技術で外見まで若返ったロバート・グーは息子夫婦と孫娘ミリの家に同居しつつ、地元の中学校の成人クラスに通い始める。
一方、偶然にも人類をマインド・コントロールする細菌兵器開発の可能性を察知したEU諜報局は、正体不明のハッカー「ウサギ」を雇って、(ロバート・グーの生活する)サンディエゴのバイオ研究所に探りを入れようとするのだが・・・
バイオ研究所へのハッキングのキーパーソンとして「ウサギ」が白羽の矢を立てたのが、なぜかロバート・グーだったのだ。

ロバート・グーは生前、いや、正確に言うと死んではいないので、過去の人生において、天才的な才能に恵まれながらも人間的にはまったくもって嫌なクソ野郎だった、というところが「あるある」だった。天才なら人の気持ちなど慮れなくとも「しょうがないか」と思われてずっと生きて来ちゃったんだろうな、というね。
上下巻の長い物語も一言で言えばこのロバート・グーの「第2の人生の成長物語」。後、加えて言えば孫娘ミリの成長物語でもあるな。

ストーリー的にはそんな感じだが、SF的には、今からさらに進んだネット社会、ウェアラブル・コンピューティングで、現実世界を好みのヴァーチャル世界に脚色するような形での日常、というのが面白かった。
で、この現代でテレビがアナログからデジタル化するように、図書館の書籍を細断作業によってデジタル化してしまうという計画がまさに実行されつつある未来が描かれていて、抵抗運動も多少はあるものの「まーそーいうもんじゃね?」と流れていってしまうのが、テレビのデジタル化とかぶって見えた。


レインボーズ・エンド、虹の果て、人生の最後にたどり着くところ。しかし、その先にもきっと何かがあるはず。虹の向こう側には(ってそれはオーバー・ザ・レインボー)。
人生やり直しのきかないことなんて無いさー♪というメッセージを感じた。
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『フェアリイ・ランド』 ポール・J・マコーリイ [SF]


フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)

フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ポール・J. マコーリイ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫


はい、どんどん感想上げましょう。
華麗なるテクノゴシックSF、てことだそうで(帯コピーによると)。
ゴシック物なんで容赦なく人死にます。
ここに描かれてる未来はバラ色とは程遠い、混濁色。
金持ちはより金持ちに、貧乏人はさらに貧しく、明日への希望も何もなくどん詰まり人生。退廃的なバーチャル幻想世界へ逃避してしまう人多数。
てわけで、楽しく読み進むのはちょっと厳しい。
かいつまんで言うと、人類に奉仕するように作られた「ドール」という人造人間(かなりグロテスク)に知性と生殖能力を持たせて(これが「フェアリイ」)、彼らの王国を建造しようとする天才少女ミレーナと、彼女に魅了され利用される遺伝子ハッカーのアレックス(でぶ)のお話。
登場人物の誰にもあまり共感できないまま、傍観者のように読み進み、結局最後まで「あー、そうなんだー」と、今ひとつのめりこめないまま読了。
結局この話に救いはあったのかどうなのか、これはハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか、よく理解できなかった。
しかし、SF的ガジェットはたくさん、それを想像して追っかけていくだけでなかなか楽しい。ドラッグによる広告効果なんて、ぞっとしないが面白い(考えるのは)。未来の世界の変質者、とかね。

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『栄光への飛翔』 エリザベス・ムーン [SF]


栄光への飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

栄光への飛翔 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: エリザベス・ムーン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/08/25
  • メディア: 文庫


なんかこの作者のエリザベス・ムーンの名前が記憶にあったんで文庫本を買ったのだが、よく考えてみたら以前に単行本の『くらやみの速さはどれくらい』を買ったんだった。
しかし、我が家の本棚には『くらやみ・・・』は無い。なぜなら、未読の本の山のどこかにまぎれたままだから・・・とほほ・・・。
まぁ、いつかそのうち『くらやみ・・・』もちゃんと読んでここに感想が書けるようになることだろう、きっと。個人的財政難もあって、単行本は未読の分を消化しない限り新しいのを購入しない、という決意をしたので。

さて、本書『栄光への飛翔』だが、不祥事に巻き込まれ不運にも士官学校を退学になってしまった傷心の女主人公が、精神的リハビリを兼ねて実家の航宙会社の廃船予定のボロ貨物船の船長となり、いろいろな事件を乗り越えて大人になっていく、という、少女の成長譚宇宙冒険SFである。
ありゃ、3行で済んじゃった。

代々続いた航宙会社である主人公の実家の家族親族たちが「浪花の商人」ばりの商人魂を感じさせて面白かったね。
科学的に難解な表現は皆無といっていいので、ストーリーを楽しんでさくさく読めるのがよろしい。
シリーズ物になっているらしいので、他の冒険も読んでみたいと思った。
うは、小学生のような感想文・・・
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『遺す言葉、その他の短篇』 アイリーン・ガン [SF]


遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

  • 作者: アイリーン ガン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本


ああ、この短編集は好きだ。
というか、アイリーン・ガンは恐ろしく寡作なので、これでほとんど全作品になるのか。
つまり、アイリーン・ガンは好きだ、ということだ。
おそらくこの作風からすると、自分より10歳ぐらい年長で、センスオブワンダー溢れるSF隆盛期に育った人なのでは、と思ったがそのとおりだった。

とりあえず、『中間管理職への出世戦略』は虫嫌いの人は避けて通るべきかも。
カフカの『変身』なんて問題じゃーゴザイマセン!
少しずつ虫に変身していく主人公&周りの人々、気持ち悪すぎ!!!
でも、でも、凄く面白い。著者が「完全なハッピーエンド」と付記で述べている結末は、スプラッタな中にも爽快感がゴザイマス。でも、これハッピーエンドなのか?
『コンピューター・フレンドリー』はウィリアム・ギヴスンとの交流が深く、そしてでっかくなる前のマイクロソフト社に勤めていたアイリーンの思うところのコンピューター社会・・・これを書いたのは1989年だが。
『遺す言葉』は著者の敬愛するSF短編作家アヴラム・デイヴィッドスンにインスピレーションを受けて書いた作品。しかし正直、自分はアヴラムよりもアイリーンの作品の方が好きな気がする。
『ライカンと岩』はアーシュラ・K・ル・グィンっぽい伝奇風小品。
『スロポ日和』も楽しい話だ。これは「完全なハッピーエンド」じゃないのかな、アイリーン的には。
そして唐突に挿入されるレシピ『イデオロギー的に中立公正なフルーツ・クリスプ』は中立公正を目指すとこういうものになっちゃうよ、という、そして、自分の道は(味は)自分で切り拓け的な作品(なのか?)。
『ニルヴァーナ・ハイ』は、ゼン・ヘンダースンを髣髴とさせる超能力を持った少年少女の話・・・だけど、こっちのは牧歌的ではなくもっとブラック。
ラストの『緑の炎』はアイリーンとアンディ・ダンカン、パット・マーフィー、マイクル・スワンウィックの共作。このスラップスティックな話に登場する主要人物はアイザック・アシモフ、ロバート・ハインライン、そしてグレース・ホッパー。アイリーンはアシモフ、アンディがハインライン、パットがホッパーの主観から各章を書き分け、全体の舵取りをスワンウィックが担当したとのこと。アシモフの作品もハインラインの作品も愛読した身としては、この二人が主人公として登場するというだけでもかなりわくわく物であった。しかし、別にSF愛好家でなくともそれなりに楽しく読めるのではないかと思う。
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『ティンカー』 ウェン・スペンサー [SF]


ティンカー (ハヤカワ文庫SF)

ティンカー (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ウェン スペンサー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫


例によって固いのの次はやわらかいので。
これも女流作家物らしく、主人公(女の子)は一般的美人と言うより個性的な魅力のあるタイプで、だけど相手の男性はもろ美形っつう・・・。
異次元間転移装置により、魔法が支配するエルフホームという異世界と、地球のピッツバーグがごちゃ混ぜに存在する21世紀末、人間の天才少女ティンカーとエルフの王子様(?)の恋模様と、鬼やら天狗やらとの戦いを描いた作品。
こういうのは一気読みできちゃうんだけどねぇ・・・あんまり深く考えずにストーリーに身をゆだねてどんどん進んじゃえばいいわけだから。
終わり方が中途半端だと思ったら、やっぱり続編があるらしい。もう邦訳されてんのかね?早く読まないとストーリー忘れちゃうから(苦笑)。
著者のウェン・スペンサーは、SF作家である前にSFファンであり(最近この手の作家さん多いね)、さらに日本のアニメやマンガのファンでもあるらしい。ヲタク外人、てやつ?敵役がゴブリンとか悪魔じゃなくて、鬼なのはそのせいなんだろう。でも、天狗とか狛犬は悪い方じゃなくて神様の方だから。ちょっとその辺違うんじゃ、と思った。
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